BOOSTERの仲間たち

これまで数多くのクリエイティヴを支えてきたスマイルズ遠山正道さんと一緒に、
BOOSTERのこれからを語り合ってきました。

BOOSTER TALK

クラウドファンディングは
「期待」や「緊張感」を可視化する

佐藤 遠山さんには、2011年にPARCOが行った日本初のファッション応援ファンド「FIGHT FASHION FUND byPARCO(以下、FFF)」で賛同人としてご協力いただきました。今回は、BOOSTERのパートナーであるミュージックセキュリティーズの猪尾さんも交え、「クラウドファンディングでクリエイティヴを応援すること」についていろいろとお話をうかがえたらと思います。

遠山 スマイルズでも、ファッションブランド「my panda」や、銀座コリドー街にあるビストロ「銀座ストック」でクラウドファンディングの支援をいただいた経験があります。出資のリターンがモノやサービスと紐付いているため、クリエイターと出資者のつながりがわかりやすい。これがクラウドファンディングの特徴だと思います。

猪尾 クリエイティヴには「万人にウケるもの」と「一定の人にのみウケるもの」の2種類がありますが、特に後者のクリエイティヴにチャレンジする場合は、BOOSTERが大きなエネルギーをもたらすような気がします。「お金」はもちろん「期待」というのも作り手にとって大きなエネルギーですよね。

佐藤 遠山さんは、次世代のアート作品を数多く購入されていますよね。

遠山 そうですね。でも、これは決して「支援」や「育成」のためではないんですよ。クリエイターというのは、巨大な“リスク”を背負って作品づくりをしています。一流の作家でさえ、ひとたび評判の悪いモノを作れば一瞬で人気は転落してしまう。そういった環境の中で常に新たなチャレンジをし続けるわけで、ビジネスがアートに学ぶべき点は多いと考えています。

猪尾 クラウドファンディングは金銭面でのリスクを軽減する一方で、出資者からの「期待」が可視化されるので、クリエイターにとってはモチベーションにもプレッシャーにもなると思います。

遠山 今って、いい意味でアートの敷居が下がっていると思うんですよ。誰もがコンテンポラリーアートを語る時代であり、クリエイターもそれだけ多種多様な視線にさらされます。我々も真剣にビジネスをし、そこで得たお金で作品を買っているわけで、そこには「それだけいいモノを見せてくれよ」という思いもある。「お金を使う」という行為は、作り手と緊張感のある関係性を築くことでもあると感じています。

佐藤 FFFを立ち上げる際、遠山さんは「日本が誇れるもの。私たち一人ひとりができること。そのとても素敵な2つのことが、ここに実現するわけです。一人ひとりの意志という水で、見たことのない花が咲きますように。」という言葉を寄せてくださいました。サポーターからの出資や期待、あるいはプレッシャーや緊張感といったものが養分となり、素晴らしいクリエイティヴが芽生えていくことが、BOOSTERのひとつの理想形かもしれませんね。

仕組みだけでは終わらない
情熱を実現に導くサポート体制

猪尾 いいなと思えるクリエイティヴに出会ったときって、従来は「消費=買う」という形か、あるいは「実際に参加する=働く」という形しか関わり方がなかったと思うんですよ。しかし、BOOSTERはその中間的な関わり方を可能にすると思います。つまり「お客さん以上社員未満」という形で、当事者意識を持ちながら関わるという形ですね。しかも、同時にいろんなプロジェクトへ参加することも可能です。

遠山 私は以前、ブログに「ビジネスとは恋のようなものである」と書きました。なぜなら、何かやりたいことが出てきたときって、もはや合理的な説明なんて無理ですよね。「PASS THE BATON」の店長だった社員が以前「いつか新宿でBARをやりたい」という夢を語っていたんですが、あるとき、私のところに来て「物件を契約してきちゃいました」と言うんですよ(笑)。これってもう、合理的な事業計画とかいうレベルの話じゃないわけですよね。それで出資をして、出向という形でBAR営業を始めてもらいました。

佐藤 それはすごい情熱ですね!

遠山 こぢんまりしたBARなので、大した利益が出るわけではないんですよ。でも、まるで恋のような気持ちによって生まれたBARは、私には決して作れない。そういう投資を50個くらいやって、いろんな情熱に触れ続けていたいなと。

佐藤 PARCOにも同じノリがありますよね。

遠山 BOOSTERには期待感がありますよ。なぜなら「PARCOがやる」クラウドファンディングだからです。ビジネスとしてはどこの会社でもやれますが、今言ったような「合理性とは離れたところにあるリターン」を感じながらやれるのが、長年クリエイターを支援してきたPARCOの強みだと思います。以前、PARCOがChim↑Pomの展示をやったとき、ビルの前に巨大なゴミ袋を設置したり、看板の文字を外したりしましたよね。お金も相当かかっただろうに……それでもやっちゃうPARCOの姿勢に、「あれくらいのレベル感でやらなきゃな」って、私も密かに刺激を受けてました(笑)。

猪尾 そうなんですよね。クラウドファンディングというのは、とかくお金を集める「仕組み」の話ばかりが語られがちですが、一番大事なのは、実は「誰とやるか」って部分なんですよね。

佐藤 おっしゃる通りですね。BOOSTERとしても、「資金を集める場を提供して終わり」というサービスにはしたくないと考えていて、PARCOスタッフを始め、ミュージックセキュリティーズさんや外部のブレーンとも連携しながらプロジェクトオーナーを支えていく体制を構築しました。

遠山 クリエイターにとってもそれは非常に心強いと思いますよ。さらに、PARCOと自分の名前が並ぶことのうれしさもあると思う。クリエイターには、大いに背伸びをしながら素晴らしいクリエイティヴを生み出して欲しいですね。

佐藤 我々としても、遠山さんが思わず出資したくなるようなプロジェクトを送り出すべく、サポートをがんばっていきたいと思います。

写真:平野 太呂 テキスト:清田 隆之

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